『普通』
他人より優れなくてもかまわない。
『普通』でいいのに、
『普通』が良いな、
『普通』になりたい。
ただ『普通』でありたかった。
昔からそう思っていた。
社会に出たら、
自分が思っていたよりも『普通』のハードルが異様に高いように感じた。
生きづらい。
なんでこんなに生きづらいんだ?
ただ『普通』に生きたかっただけなのに。
あれ、自分って『普通』じゃなかったのか……
なんで周りは『普通』のことができて、
自分はできないのか。
自分は『異常』なのか?
・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
自分が『異常』ってことは、
周りのその他大勢は『普通』なんだよな。
ん?????
あれ???
ちょっと待ってくれ、
『普通』って言葉自体が周りの人と比較してるのか?
周りと比べられたくなくて、
目立ちたくなくて『普通』を目指していたのに。
『普通』になりたかった自分が一番
自分と周りを比較していたのかもしれない。
あっ、
『普通』って言葉は、意味がないんだ……。
『異常』って言葉も、意味がないのか……。
頭の中の三脚に固定されていたカメラが取り外されて、
自由に景色を撮ることができたのだ。
頭の中のモヤがスゥーっと晴れた気がした。
あくまで自分は自分で、
他人は他人なんだ。
まだ何をしたいのかわからないけど、
何かしたいと思えるようになった。
朝のコーヒーがとても澄んだ黒色をしていた。